潰瘍性大腸炎 私の場合【①発覚】
36歳で潰瘍性大腸炎【全大腸炎型】が発覚し、2週間入院し、仕事も1か月半休職して、復職後の今も、ステロイド依存性が出て新薬ステラーラで継続治療中である私が、その症状と経過を紹介する。全国20万人にのぼるという患者、特に新規患者の方々の参考になればいい。健康啓発と自分の備忘も兼ねる。
目次
1 発覚
・下痢で1日トイレ40回
どうにも下痢が止まらない。1日40回はトイレに駆け込む。
何かを口に入れた直後にも便意が来るから、食事をするのも恐怖がある。
出退勤でもコンビニや駅のトイレに立ち寄る。
電車内でも便意が来て、途中駅のトイレに入る。途中駅も含めてトイレの位置は把握する。
これらのトイレが満室だと、入っている人を怒鳴りたくなる。我慢が効かないからだ。昔は何もせず我慢していたが、早く出てほしいから、ドアをノックして回る。なりふり構っていられない。声を抑えても苦しくてうめき声が出ることもあった。ドアから面倒そうにスマホをいじりながら出てくると、睨みつけたくなる。
夜中、寝ついてからも、便意で少なくとも3回は起きる。
最近は吐き気もひどく、何度も戻しそうになる。
そんな日々が続いていた2020年7月、東京某区。
さすがに何か手立てはないのか。
「過敏性腸症候群」ならどうせまた治らないのかなと思いつつ、
近所の消化器内科専門をうたう医院へ行った。
・過去の症状と通院
実は、2020年3月まで福島にいた私は、2~3年前から、トイレが近いことが気になっていた。2018年4月ころ、遅まきながら運転免許を取るため自動車学校に通った時も、コマとコマの間は必ずトイレに行った。仕事で新幹線で出先に行く時には、同行者をたびたび待たせることになるのが嫌で、別行動をお願いしたりもしていた。月2回の出張の際には、朝、最寄り駅まで徒歩20分の間に便意がこらえきれず、道中のホテルのトイレに駆け込むことも何度もあった。大きなショッピングモールで家族で買い物中にも急に便意が来て、トイレに走り込むことも何度もあった。
当時の職場近くの診療所で、週1回来ていた消化器内科医に、合計3回見てもらったが、特に精密検査はされず、1回目は「感染性腸炎」と診断されて抗生物質をもらい、2回目以降は「過敏性腸症候群」と診断されてイリボーやミヤBMなど複数の薬を処方された。
もっとも、1回目は少し軽快した気がしたものの、2回目以降は全く軽快しなかった。症状はだんだんひどくなり、2020年に入ってからは、体重が目に見えて減ってしまい、同僚に心配されていた。
そんな経緯もあって、東京の消化器内科専門医(仮にA医師としよう)にも、正直あまり期待していなかった。
・A医師の診断「大腸が広がりすぎている。下痢が我慢できるはずがない。」
私:たぶん過敏性腸症候群ですよね。
A医師:過敏性腸症候群はきちんと精査して、他のどれでもないと分かったときに付ける病名です。私は他の病気ではないかと疑っている。
正直、意表を突かれた。自分では症状をベースにして結構調べているつもりだった。後から振り返ると、私には明確になかった「血便」をキーワードにして検索しないと、潰瘍性大腸炎にはヒットしにくかったようだ。
A医師:腹部の画像診断や超音波検査をして当たりを付けます。おそらく潰瘍性大腸炎だと思う。指定難病です。正確な診断には大腸内視鏡検査をしないといけない。それほど悪いのなら食事もできないはず。直ちに入院して点滴を受けたほうがいい。
私:そんなレベルの話だったんですか。難病ですか。すぐ入院ですか。
耳を疑った。仕事中は、なぜか便意が収まってくれることが多いので、なんとか仕事は支障なくできていたから、出退勤中と夜中の便意が収まってくれればいいと思っていた。これも後から振り返ると、座っているとお尻が圧迫されて便意が来にくいし、便意が来てもはるかに我慢しやすいというだけだったようだ。
それにしても、2歳の二男がちょうど水疱瘡疑いで熱を出し、やっと治ったところだった。これは大変なことになった。
A医師は、血液検査、腹部CTと超音波検査を経て、ほぼ間違いなく潰瘍性大腸炎だ、おそらく慢性の全大腸炎型だという確信を持っておられたようだ。便採取もした。
A医師:大腸の本来0.1mmくらいの幅で便を止めて水分を吸収する部分が、0.5mmくらいに広がっていて、これでは下痢が我慢できるはずがない。
明日、大腸内視鏡検査をしましょう。今日は夜は食べるとしても素うどんとかにしてください。そのあと夜のうちに下剤を飲んでください。検査は午後からですが、朝10時半に来てください。明日も朝から下剤を飲んでおなかを空にします。検査の準備です。
この日はそこで終了となり、翌日の大腸内視鏡検査の説明と書類作成がされた。ちなみに、翌朝の下剤も家で飲んでもいいそうだが、家で下剤を飲んだあと病院に行くまでの間に下痢が出る心配があったので、病院で飲ませてもらうことにした。また、この日はひとまず、感染性腸炎の疑いもぬぐえないので、抗生剤が処方された。
なお、この日の治療費(薬代込み)は自己負担分だけで1万円くらいかかった。内視鏡検査は、順調に進むかどうかにもよるが、4万円くらいする場合もあるという。コロナの特別給付金は、病気の治療で吹き飛びそうだった。
(②大腸内視鏡検査へ続く)