刮目呂蒙のブログ

都内在住の30代男です。時事問題や生活改善情報から、自分の周りのことまで。たまに持病(潰瘍性大腸炎)のことも。

今月の学びのまとめメモとか⑤

こんにちは呂蒙です。

またまたまたまた、この1か月で学んだことのまとめメモです。

 

・この3月施行の会社法改正でいろいろ変わるらしい

 ・取締役の報酬の「決定方針」について、取締役会で決めることが義務化

  取締役つまり会社の社長以下経営陣の報酬といえば、自分たちで決めると高くしすぎるよねという問題(お手盛りの問題)があるからってことで、会社の持ち主である株主たちが株主総会で決めようね、というふうにされている。

  ただ、経営陣の役員報酬の総額さえ決まっていれば、あとは役員たちの中で分配してくれればよく、お手盛りの問題にはならないということで、株主総会では総額を定めればOKとなっていた。

  とはいえ、日本の会社の役員報酬アメリカなんかよりだいぶ安いといわれている。役員は激務で責任も大きいのに、報酬が安いままではやる気が出ないし、いい人材も確保できにくそう。そこで、役員たちのやる気を高めるために、役員たちが「取締役の報酬の決定方針」について取締役会で決めて、これを株主総会にかけて承認を取れたなら、その方針に沿って仕事を頑張って成果を出すことで、よりよい報酬をもらうことができるようにしようというような改正みたい。株主たちも、株主総会で決めた方針どおりなら、透明性がちゃんとあるから文句もないよねということか。

 

 ・会社補償の明文化・明確化

  会社役員には、その職務の執行の影響で損害を受けた株主など第三者から、損害賠償請求を受けるリスクがある。責任があれば個人として賠償金や和解金を払わないといけなくなるし、そうでなくとも弁護士を雇ったりして費用が高くついたりも。会社補償というのは、こういった役員の賠償金和解金や弁護士費用などについて、会社が肩代わりすること。改正会社法は、会社補償を契約で決めておくことができる場合を定めたようだ。

  あまりこういうことをすると、役員が会社にリスクを負わせて自分の利益を図ることをしかねないので、会社補償契約をするには株主総会の承認が必要であるとか、役員に悪意又は重過失があるときなどには補償しないことなど、モラルハザード対策も盛り込まれているようだ。実際どんなふうに使われていくのだろうか。海外から腕利きの経営者を連れてくるような場合かな?

 

 ・上場会社等の社外取締役義務付けなど

  経営に第三者の目が入り、コンプライアンスが高まるように見えることから、社外取締役を入れる会社は増える一方のようだが、会社法で上場会社など(公開会社かつ大会社)については、普通の取締役会設置会社でも、とうとう社外取締役の選任が義務化までされたようだ。選任しない合理的理由の説明というのがあれば要らないというが、あまり想定されていない様子。

  ついでに、社外取締役が会社の内部業務の一部(内部通報への調査など)を執行しないといけないとなったときに、そういう経営そのものとは関係ない(むしろ第三者の目に適した)業務の執行でせっかくの社外性がまるまる喪失してしまう心配があったので、社外性喪失の例外を定めたらしい。親子会社も含めて、会社の業務執行をしたら社外性がなくなるよということになってきたようだが、少し変わるようだ。

 

 ・社債権者集会での元利金の減免を可能に

  もうこのあたりは専門的すぎて実際どうなのか分からないが、この今までできなかったのか?というような改正もあったみたい。

 

 ・10を超える株主提案(議案)の株主通知の拒絶

  株主総会もいろいろで、テレビでは阪神などの野球チームに関する質問などが取り上げられたりするが、小規模な会社では親族間の骨肉の争いになっていたりもするという。それなりの株式を有する一定の株主(親族株主の多くが該当)には、株主提案ということで議案の提出などが認められているが、ものすごい数の議案を出されたりすると、進行する方の対応も大変になる。10個を超える議案については、株主に、議案の要領を通知しなくてもよくなるという。そうすると議案の数の数え方が問題になるので、そこも改正法は定めているそうだ。

 

・地域密着型金融機関の評価指標と貸出先の掘り起こしなど

 預貸率

  地域密着型金融機関と言えば、信金(信用金庫)とか、第2地銀などか。農協とかもそうかもしれない。

  金融機関の重要指標といえば、もちろん自己資本比率が財務健全性の指標。要するに、総資産の資金調達方法のうち、負債(借金など)でない割合のことだ。手持ちの資産がほとんど借金ばかりの金融機関に預金するのは危ないということで、なるべく自分のお金(自己資本)で資産を構成しましょうという規制があるわけだ。

  もっとも、どこも自己資本比率規制は守っているのが前提。そのうえで、経営的にうまくいっている金融機関を表す指標は何か。

  その一つが、預金額、貸出金額と、それらの比率である預貸率(貸出金額÷預金額)だという。それぞれの額は経営の規模を表す。これは地域によって違うから、大きければ大きいほどいいともいえないかも。しかし、預貸率は、もちろん限度があることを前提として、基本的には高いほうがいいようだ。それだけその金融機関が、審査に通った貸出先を確保できているということになる。いい貸出先があれば、貸付金利でより儲かることができるというわけだ。

  もちろん、審査基準をゆるーくして、危ない企業にも貸し付ければ、見かけ上は預貸率が上がるものの、当然焦げ付きが増えて、まわりまわってその金融機関の経営が危うくなる。したがって、高い預貸率がよいとされるのは、貸出金額の大半が「いい貸付先」であることが前提だ。

  そうしてみたとき、地域の信金の預貸率は、一説によれば50%程度が業界平均だというし、コロナ禍では給付金が配られたり企業が安全重視の経営のため投資を控えて流動資産を確保しようとしたこともあって、昨年6月ころの国内銀行の預貸率は過去最低の63%だったという報道もあった。

www.nikkei.com

  そんな中、例えば西武信金は預貸率71%(一時期は85%もあったとも)など、かなり勝ち組信金であったらしい。

 

 貸出先の掘り起こしとM&A

  コロナ禍もあって事業承継型M&Aが活況だという。先の見えない時代、経営者自身が高齢になったとか、後継者不足などもあり、事業を起こしたものの、誰かに(高く)事業を買ってほしいというニーズが多いようだ。

  買う側も、一から事業を起こすよりも既にある事業を買うほうが早く、高確率で事業のリターンを得ることができるかもしれない。買うほうにもメリットがある。もっとも、多くの場合、お金がある人が買いたいと思わないとこの取引は成立しないというのが特徴で、要するに値段を決めるのは買い手側の力が大きいようだ。

  それはともかく、信金などの地域密着型金融機関としては、融資先かつ定期預金も入れてもらっているいいお付き合いの会社が、後継者不足など経営ノウハウとは違う理由で事業をたたんでしまい、収益機会を失うのは困るだろう。できれば、相続紛争になって会社がガタガタになる前に、息子でもめぼしい従業員でもいいので、事業承継して経営を継続してほしい。それに、その地域のたいていの企業のことは、儲けのしくみの部分も含めてかなり詳しい知識と人付き合いがあったりする(自分でその経営者の代わりができるような銀行マンは少ないかもしれないが。)。そこで、M&Aの機会をうかがう売り手と外部の買い手とをつなぐ役割も担えるはず。ということでそういう宣伝するのは自然な成り行きとなる。つなぐついでに、買い手の資金調達も手伝うし、売り手側の元社長に入った資産の運用も任せてもらいたい。ついでに相続相談もしてしまいたい。買い手企業とはまた末永いお付き合いに入りたい。

  そういう観点で、事業承継セミナーなどを開催して関心のある人を集めたりしているのかもしれないとみると、少し世の中のことを深く知った気持ちになる。

 

 M&Aのこと補足

 はっきり言ってよく知らない世界だが、M&Aについても少し勉強したのでその備忘録として書く。

 ・M&Aは基本的にシナジーを狙うが、統合プロセス(PMI)のリスクは常にある。買収側は、買うことでどうしたいのか明確なストーリーを描いたうえで、業務統合のための強い体制づくりを最優先にすべき。

 ・買った後も、前社長らにサポートを求める機会は意外とある。トップ同士がお互いに信頼関係とリスペクトをもって接することができないと失敗しやすい。前社長のプライドを傷つけないように注意する。

 ・いくらデューデリジェンスをしても防げないリスクはある。例えば、業種によっては未払い残業代が思いのほか膨らむこともある。影響力の強い従業員が請求したりすると、他の従業員へも波及したりする。表明保証や売価への反映など、リスクを移転する方法はあるが、値付けには問題が顕在化する確率の見立て(主観)がどうしても入り込む。最後は決断の問題なるが、買い手は過小評価しないこと。

 ・中小企業を買う場合、コンプライアンスのリスクは常にある。細かい経理処理の問題から、業法違反の疑いや、偽装請負などの重大な脱法などまであり得るので、どのあたりまで許容するか見定める必要がある。買わない勇気も必要。

 ・売り手側の連帯保証契約の解除ができるかどうかは、経営者保証ガイドラインによれば基本的には可能だが、貸し手によって条件が違う場合がある。どんな手続が必要になるか慎重に検討する。

www.chusho.meti.go.jp

 

 ・売主側の株主が経営に関わりない親族名義になっていることがかなりある。株式の家族信託も一部では使われている。きちんと株式を買い集められるのかどうか見極めて、株式売買の形を取るのか、事業譲渡にするのかなど、スキームを使い分ける。

 

 

まだまだ、学びメモが続きます。