刮目呂蒙のブログ

都内在住の30代男です。時事問題や生活改善情報から、自分の周りのことまで。たまに持病(潰瘍性大腸炎)のことも。

今日は将棋のA級順位戦ラス前【斎藤八段挑戦なるか】

今回は、今年の将棋のA級順位戦の進行状況と私の期待を紹介する。

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目次

1 A級順位戦終盤の日程について

将棋ファンなら抑えている日程だと思うが、今日はA級順位戦の「ラス前」一斉対局だ。

10人で争われるA級順位戦は、他のクラスの順位戦と違って、7回戦までは個々の対局ごとに個別に日程が組まれる。

しかし、昇級と降級に直結する8回戦(ラス前)と9回戦(最終戦)は、一斉対局となる。

特に、最終9回戦の日は、「将棋界の一番長い日」と呼ばれ、毎回熱戦が繰り広げられ、悲喜こもごもとなることは将棋ファンには周知のとおりだ。

たいてい3月に日程が組まれるため、A級経験者の先崎学九段は、3月は昇級・降級をかけた棋士がライオンになる(獅子のようになる)月だという趣旨のことを書かれている。このことが直接、羽海野チカ先生の将棋漫画『3月のライオン』のタイトルの由来(の一つ)になったのかどうかは不明だが、同作の将棋の監修者である先崎九段は、このタイトルの言葉が3月の棋士たちにうまくあてはまると思って、同作のコラムに上記のようなことを書かれたのだろう。

もっとも、今年の「将棋界で一番長い日」は2月26日なので、諸兄にはぜひとも注意されたい。

 

2 本日8回戦の状況と私の期待

さて、今日のラス前での状況を簡単にまとめておく。

 昇級争い

昇級争いは、上から、

10位・斎藤慎太郎八段(6勝1敗)

1位・豊島将之竜王(5勝2敗)

2位・広瀬章人八段(5勝2敗)

の3人に事実上絞られていると思う。

A級初参加の斎藤八段が1敗と好調であり、このまま挑戦できるか要注目だ。

知的でスマートなルックスで、好青年と評判でもあり、また新たなヒーロー誕生ともなり得る。

超人的な藤井聡太二冠ほどではないにせよ、将棋界でもトップクラスの詰将棋の力を持っているともいわれる。個人的には、斎藤八段は、中終盤の特に秒読みの局面での精度が「令和4強」(藤井二冠、渡辺明名人、豊島竜王永瀬拓矢王座)と比べ課題にみえるが、地位が人を作るところもあると思うので、勢いで挑戦してもらえればと思う。

あとの2人はタイトル挑戦の常連なので他言を要しないだろう。

 残留争い

次に残留争いは、下から、

7位・三浦弘行九段(1勝6敗)

8位・稲葉陽八段(2勝5敗)

9位・菅井竜也八段(3勝4敗)

6位・糸谷哲郎八段(3勝4敗)

5位・羽生善治九段(3勝4敗)

3位・佐藤康光九段(3勝4敗)

まで可能性がある。最高棋戦の地位を竜王戦に譲った今でも、名人戦順位戦のクラスの持つ影響力は多大なものがあり、それを掛けて競う残留争いには熱い人間ドラマが見られる。

三浦九段は残り2連勝しても、糸谷八段を上回ることができないので、稲葉八段・菅井八段の2名が降級するパターンにならない限り残留ができず、苦しい立場だ。とはいえ、今まで名人挑戦経験もあるし、降級しかけた時も驚異的な残留力を見せてきた三浦九段なので(その時代わりに降級するのが決まって深浦九段だったのも将棋ファンには有名な話だろう。)、今期も粘り腰に期待したい。

そして羽生世代のファンである私からすれば、羽生九段・佐藤康九段両名の残留は悲願だ。本当は挑戦争いに加わってほしい2人であり、せめて残留は絶対に果たしてもらいたい。

特に、佐藤康九段は会長職が忙しく、ほぼ全く研究の時間を取れないというのであり、研究合戦の現代将棋では相当苦しいはずだが、長年培ってこられた佐藤将棋の独自性と、誰とも読みが合わないという感性が佐藤康九段を助けているのだろう。これを若いころの貯金の食い潰しというと嫌な表現であり、私は、佐藤康九段の愚直で長期的な投資がいままさに実を結んでいるのだと捉えている。

羽生九段は、2勝4敗で迎えた7回戦で稲葉八段に勝ち、なんとか多少なりとも有利な位置で8回戦を迎えることができた。この一局は終始鬼のように強い往年の羽生九段が見られ、とても興奮した。もっとも、レーティングでこそ令和4強の下の5位前後に安定して付けている羽生九段だが、さすがに50歳になり、先日の棋聖戦予選の森内俊之九段戦のように、不出来な対局も少し増えてきた印象だ。羽生九段はもちろん長時間の棋戦も強いのだが、NHK杯戦のような早指しから王座戦のような1日制で夕食後に佳境に入るくらいまでの長さの棋戦のほうがお得意にも見える。羽生九段がB級に降級されるようだとさすがに事件なので、是非この8回戦で残留を決めて、将棋ファンを安心させてほしいと思う。

 執筆現在の状況は

さて、現在の様子だが、この記事を書いている2月3日午後11時30分の段階では、2局が終局している。朝から対局しているのに、日付が変わるのが普通という恐ろしい世界だ。50代の羽生九段・佐藤康九段や、40代後半の三浦九段は体力的にも相当きついだろう。頑張ってほしい。

佐藤天彦九段(4勝4敗)-○糸谷哲郎八段(4勝4敗)。

糸谷八段は早見え早指しなので、持ち時間6時間の順位戦であっても、早く終局することはある。もっとも、佐藤天九段は粘り強い受け寄りの将棋であり、そういう意味ではちょっと珍しく早い終局ともいえそうだ。

稲葉陽八段(2勝6敗)-○斎藤慎太郎八段(7勝1敗)

勢いの差が出た格好か、斎藤八段は初挑戦に大きく前進した。一方、稲葉八段は残留へ向けてますます苦しくなってしまった。

実は30代前半はプロ棋士にとって難しい時期と言われており、いったん成績を落とす棋士が多い。そこから再び這い上がれるかはそれぞれだが、稲葉八段はこの1月にめでたく結婚されたところであり、新婚パワーで這い上がれるのではないかと思う。頑張ってほしい。

そろそろ寝る時間なのでここで筆を置く。明朝の結果が楽しみである。