刮目呂蒙のブログ

都内在住の30代男です。時事問題や生活改善情報から、自分の周りのことまで。たまに持病(潰瘍性大腸炎)のことも。

今月の学びのまとめメモとか①

こんにちは呂蒙です。

今日は、この1か月程度で新しく勉強したことの一部を簡単にメモして備忘します。

 

・田澤ルール 事業者団体たるNPBによる「不公正な取引方法」の疑いと公取に発表され廃止

 公正取引委員会は、日本の中高を卒業後すぐメジャーリーグ球団と契約した田澤純一投手のような選手について2~3年間は日本プロ野球の球団と直接契約できないとしたNPBのルールについて、選手を「事業者」と認定し、市場(日本プロ野球と画定)でのその役務提供(プレーをして対価を得る)を各チーム共同で排除したNPBのルール策定が独禁法の「不公正な取引方法」に当たる疑いありとした。昨年秋のこと。

 選手を事業者と認定しているところから、新人選手獲得の公正な競争を阻害し得るドラフト会議の独禁法違反問題へと波及する可能性も?

 独禁法の問題はさておき、資金力の低いカープファンという目線からは、新人選手獲得競争で資金力や地理的利便性(都心が有利)で選択できるような制度(一時期の逆指名とかそうだったと思う)になるとたぶん不利になり、戦力均衡が崩れやすくなるのは確かに嫌かも。入団してからの各球団の資金力の差による育成環境の差や、入団して結構時間が経ってからのFA制度は仕方ないとしても。これは思考停止の保守主義なんだろうか。NPBのドラフト会議のルールは、日本プロ野球の魅力維持のための制度として正当化できるんだろうか。選手から見れば、短い現役時代にしっかり稼ぎたいだろうから、FAまでの期間も短いほうがいいし、ドラフト会議も新人の契約金や最高年俸の規制も廃止してほしいのかも。規制があるとかえって裏金とか目に見えにくい(暴かれるとダメージも大きい)行為の温床になるのかも。

 

アフィリエイトサイトでの信用毀損問題

 一見すれば2つ(以上)の商品を客観的に比較する体(てい)で、実は片方の商品の販売業者(依頼者)からアフィリエイト報酬を受け取り、他の商品について虚偽の事実を記載した場合の問題。アフィリエイト報酬をもらった投稿者の発信者情報の開示請求が認められるか。

 こういうサイトは意外と多いようだ。アフィリエイト報酬をもらうために、比較対象の商品を不当に貶めてしまうと、不正競争に当たる信用毀損(虚偽の事実の流布)や品質等誤認表示、一般的な名誉毀損などが問題になり得る。不正競争というためには、問題行為をした者が「競争関係」に立たないといけないが、投稿者はあくまで投稿者であり、販売業者同士の関係にはない。しかし、一方の販売業者(依頼者)から報酬をもらっているなどの関係があれば、アフィリエイトサイトの投稿者も、他方の商品の販売業者と「競争関係」があると認められる場合があり、不正競争に当たる信用毀損行為による権利侵害が明らかであるとして、投稿者の発信者情報の開示請求が認められる場合があるようだ。

 なお、投稿内容が「虚偽の事実」なのか、偏った主観的評価(感想)に過ぎないのかは限界が明らかでない場合があるが、品質や価格に関する数値の誤りなどは、数字の問題だけに、客観的に誤った事実と認められやすいかもしれない。

 

同一労働同一賃金の問題

 「同一労働同一賃金」=均「等」待遇を求める法律はない。旧労働契約法20条や新パートタイム労働法8条は、職務の内容等に応じた均「衡」待遇を求めるが、単純に「同じ職務内容の者には同じ賃金を」(均等待遇)というものまでは求めていない。

 均衡待遇とは、簡単に言うと、職務の内容、職務や配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、待遇に不合理な格差があってはならないというもの。賃金の総額だけを比較するのではなく、個々の手当の支給の有無が違っていれば、その手当の趣旨目的などを考慮して、手当の有無が、人事的に合理的な違いなのか、不合理な違いなのかを比較する。一概にはいえないが、「〇〇手当」と名前のつくものは、使用者側がなんと言おうと、客観的にはこういう支給条件なんだからこういう意味でしょと特定され、格差は不合理だよねと言われやすいようだ(そういう手当が付くようになった歴史的には、企業ごとにいろいろな経緯がありそうだけれども)。それに対し、賞与(ボーナス)や退職金については、使用者もいろんな意味を併せ持たせて支給の有無や額を決めるのが一般的なので、「いい人材に正社員として長く勤めてほしいから有期雇用の社員よりも多めに支給して、モチベを維持する」というような抽象的な目的だという言い分が通りやすい(格差が不合理と言われにくい)面があるようだ。もちろん、客観的な制度設計からして、そんな目的じゃないよねとなれば別だろうけど。

 定年後の再雇用で退職金を既に受け取っているといった事情も、「その他の事情」の一つとして考慮していいので、再雇用で同じ職務内容なのに待遇が悪くなったとしても、基本的には格差をOKと認める方向になりやすいようだ。ただし、「もともと賃金が統計(賃金センサス)の平均額以下で、再雇用者の基本給が未熟な若手以下にまで下がってしまい、ボーナスも大幅減で、賃金総額が6割程度にまで減ってしまい、しかもその労働条件が労使交渉の結果ではなく使用者が一方的に決めた」というような場合には、いくら再雇用者には年金受給が可能になるからといっても、生活保障の観点を重視して、基本給や賞与が4割を超えて減額されている部分についてはさすがに不合理な格差だと認める裁判例もあったようだ。

 最高裁判所は、このような「何割まではOKだがそれを超えては不合理」みたいな割合的な解決はまだはっきり行っていないが、こういう下級審裁判例は結構出ている様子。いろいろ理屈をつけても最後は裁判所の感覚の問題になっていて、企業の人事担当者も弁護士も(判断する裁判官も)大変そうな状態だ。

 

民事訴訟のIT化について

 以前記事にした民事訴訟のIT化。

 事件管理システムのサーバコンピュータに、訴訟事件記録が電子データで保存される方向らしい。事件の件数はすごくたくさんありそうだし、それを何年分も保存していないといけないから、かなり強いサーバコンピュータにしないといけないし、セキュリティ面も強靭でありつつも、事件ごとに弁護士だけでなく当事者になった一般国民にもアカウントを付与してアクセス可能にする必要もあるみたい。しかも、事件係属中に当事者が交代したり(死亡して多数の相続人が受継するとか)、一部だけが控訴して一部については確定したりしたときに、その確定した一部については控訴記録を見られないようにしたりとかの、かなり細かい動作を要求されるみたい。

 それだけ細かく作動するサーバコンピュータって、とても重そうだけど、ユーザー側から見ると、端末はどれくらいのスペックを要するんだろうかと想像する。

 しかも、まだ改正案では「実際の法廷でWeb会議で口頭弁論」みたいな案になっているようだから(弁論公開のため、傍聴席には、出頭した当事者や代理人が見えるモニターでも出すのかな?)、各地方の裁判所ごとにサーバコンピュータが置かれるのかもしれない。けれども、うまく公開して、地方からもアクセスできれば、本当はその必要もなくて、東京にでっかいサーバコンピュータを置いて、裁判官と職員は東京に全員集めて、オンラインで裁判手続の申立てをして、必要な証拠だけ原本でやり取りするみたいな手続になってもおかしくないかも。土地管轄ってなくなるかも?刑事の令状の手続は、検察や裁判所の夜勤が大変で、先んじてそんなふうになるのかもしれない。地方で当直するのは現場臨場しての対応が必要な警察官だけになるのかも。どこまで劇的に変わるんだろうか。

 

まだまだたくさんの学びがあった1か月。続きは後ほど追加することにします。